2013年3月5日火曜日

労災保険 特別加入者の範囲拡大(バイク便)

総排気量125cc以下のバイクを使用して貨物運送事業を行う自営業者も労災加入対象へ。

特別加入とは

労災保険は「労働者」の仕事や通勤による災害に対して給付を行う制度ですが、労働者を使用しないで業務を行う自営業者(一人親方)も、任意で加入できる制度があります。
※これを「特別加入制度」といいます。

特別加入者の範囲変更

平成25年4月1日から、道路運送車両法に基づく原動機付自転車(125cc以下)を使用する自営業者も、加入の対象になります。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/130305-1.pdf


範囲変更の経緯

以下は、上記特別加入者の範囲見直しに至った経緯について触れた資料のリンクです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002qomu-att/2r9852000002qotf.pdf

特別加入について(一人親方)

一人親方の特別加入者は、個人タクシーや建設業、漁業、林業などを行う者も対象となります。詳細は以下のパンフレット(厚生労働省発行)をご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-6.pdf



バイク便のライダーは労働者or自営業主?

バイクを使用して貨物運送事業を行う者(ここではバイク便と表示します)が、労災の特別加入を認められることになった話題をお伝えしましたが、そもそもバイク便のライダーは「労働者」なのか?それとも「自営業主」なのか?という点について触れますね。

以前は…

「労働者or使用者」に関する判断基準がなく、バイク便のライダーは会社側から個人事業主扱いされ、事故発生時に労災保険の給付が行われていないこともありました。

平成19年にバイク便ライダー等の労働者性について述べた通達が出されました。
通達のリンクを貼ります。

労働者or自営業者の判断

最終的にはさまざまな要素を総合的にみた上で、労働者or自営業者のいずれかを判断していきます。
通達のボリュームがあるので、ここではポイントを抜粋して触れます。
以下は使用従属関係を肯定する(労働者性が強くなる)要素となります。
◎仕事依頼に対する諾否の自由がない。
◎配送業務の遂行方法については詳細な指示を受けている。
◎時間・場所的拘束性…始業時刻までの出勤や業務終了後の帰社義務づけ等。
◎出勤状況が出勤簿により管理されている。
◎報酬の基本歩合率が欠勤等により加減される(報酬の労務対償性がある)
など
※「自営業者」として契約している場合でも、実態を見てこれらに該当しているときは「労働者」と判断されることがあります。
※複数の要素を総合的にみて判断するので、1つでも該当したらただちに「労働者」と判断されるというわけではありません。
その他にも、独自の商号が認められているかどうか、バイク等の設備・装備品は誰が負担しているか等、さまざまな要素をみながら労働者なのか自営業主なのかを判断していきます。

平成25年4月1日以降の労災保険特別加入の範囲拡大は、

契約の形態、働き方の実態からみて「自営業主」と判断されるようなバイク便ライダー等が特別加入できるようになったというものです。
※125cc以下のバイクを使用する者

ちなみに、「労働者」と判断される方については特別加入をしなくても会社の労災により事故発生時の保険給付を受けることができます(この扱いは従来どおり)。